2011年3月10日木曜日

松が丘小学校ビオトープ池のかいぼり

明石市立高齢者大学校あかねが丘学園というのがあり、2002年から景観園芸コースの授業をいくつか受け持っています。花壇の手入れや栽培の勉強をされているおじいさん、おばあさんたちに、自然観察のこと、子どもたちへの教育プログラムのことを実習してもらっています。

自然観察と景観園芸には「溝」があります。自然のありよう、より自然な状態に価値を感じる「自然観察」と、自然に手を加えること、いかに思い通りにするか、に価値を感じる「景観園芸」は、まさに正反対と感じることも多いです。この学園では卒業後はボランティアとして活動していけるようにカリキュラムが組まれているのですが、実際の卒業後の活動はすべて「花壇作り」などの園芸の領域でした。

そこで、最近4年くらい、ビオトープのことを授業に入れてきました。ビオトープは、自然のありようを大切にしつつ、自然に手を加える方法を考えるという点で、「溝」を埋めるテーマです。園芸とビオトープ作りは、「植物を植える」という点が共通しているので、少しは興味を持ってくださる方が、ちらほら出てきました。

ビオトープ管理士という資格があります。計画管理士と施工管理士の2種類がありますが、作る方ばっかりで、いかに使うかという視点が足りないような気がしています。いわば「ビオトープ活用管理士」というような専門家を養成すべきだと思っています。それはすなわち、ビオトープを使った環境学習を推進するインタープリターやファシリテーターの養成です。いまや、たくさんの学校にビオトープ池ができていますが、担当の熱心な先生の異動などにより、放置されているような例も多いと聞きます。地域のボランティアグループが、学校の先生と協力し、学校ビオトープの管理と活用を推進する仕組みも必要だと考えてました。

私はあかねが丘学園で、シニアによる「ビオトープ活用管理士」を養成しようと考えました。2年前には、あかねが丘学園の構内に教育用ビオトープ池を作ろうと計画しましたが、お金が足りず断念しました。それで今回、あかねが丘学園の近隣の松が丘小学校の池のかいぼりを、あかねが丘学園の生徒さんが実施することをあかねが丘学園と松が丘小学校の両者に提案し、何とか実現しました。

松が丘小学校との何度かの打ち合わせで、いまあるコイの池をビオトープ池に変更するということで承諾を得ました。これまで小動物や水草を食べつくしていたコイと、外来種であるアカミミガメ、それからヒメダカを搬出し、明石の在来の生物を搬入することにも納得してもらいました。最大の難問であった搬出先には某水族園との話がうまくいき、引き取っていただくことができました。

前置きが長くなりましたが、3月8日は、松が丘の小学3年生約70名と先生方、あかねが丘のおじいさん約20名、それから私たち保全協会の4名が力を合わせて松が丘小学校のコイの池のかいぼりをしました。あかねが丘の皆さんも準備万端の大活躍で、これをきっかけに松が丘小学校のビオトープ池を使ったイベントを継続的に実施していく自主活動グループが発足しました。

水は冷たかったですが、子どもたちは靴のままどろんこになり、メダカの救出にいそしんでいました。私自身は泥の中からミズカマキリを発見し、感激しました。他にはマツモムシやクロスジギンヤンマ、ミズムシがいましたが、ミズカマキリは珍しいと言われ、うれしかったです。子どもの頃は図鑑でしか見たことがなく、大学の時に水族館で実物を見ました。野生のミズカマキリを見たのは初めてで、松が丘の子どもたちはうらやましいなあと思いました。

いろいろ課題もありますが、ようやく「ビオトープ活用管理士」のボランティア養成において一つの成果をあげることができたと思います。これからの彼らの活躍に期待したいです。

さすがに明石は遠く、何度も足を運ぶのはたいへんです。大阪でもこんな取り組みができたらいいと思います。「ビオトープ活用管理士」が増えて、たくさんの子どもたちがビオトープで貴重な体験や学習をできるようにしていきたいです。

それにしても最近、おじいさんおばあさんの相談に乗ることが多いなあ・・・。

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