2011年7月17日日曜日

セミ羽化ウォッチングの講習会


撮影:トモさん

セミ羽化ウォッチングの講習会に参加しました。716日(土)は、協会35周年記念事業の「みんなでセミ羽化ウォッチングinおおさか」の始まる日でもあります。会社に19時までいたので、到着したのは20時前でしたが、ちょうど「紙芝居」の実演練習が始まろうとしているところでした。

会場は桜の宮公園。JR桜の宮駅から歩いて5分とかからないところで、総勢19人のおとなばかりの集団が「セミ太郎の一生」という紙芝居を楽しんでいました。紙芝居と言っても、途中で何度もクイズのコーナーがあり、その都度セミ博士が登場してクイズを出してくれるという、参加型の学習プログラムです。10年以上も前から毎年使われているというだけあって、シナリオも完成度が高く、これから始まるセミ羽化観察の注意事項もとてもわかりやすくまとめられていました。

紙芝居が終わると、受講者たちは一斉に紙芝居に群がっていきました。シナリオのコピーがほしいとか、紙芝居自体を貸してくれとか、コピーを取らせてもらえないかとか、盛り上がっていました。今回の一斉観察会では、これまで各地域観察会で培ってきたこれらのノウハウを交流し、さらに高めていくことを目的の一つとしているので、こういうのもまあいいか、という感じです。賛否あると思いますが、観察会では、よくできた小道具が成功を左右する場合もありますし、初めて観察会をしようとする人のハードルが下がるなら、いいことだと思います。

いよいよセミを探しに行きました。幼虫がそのへんの地面の上をうろうろしていることがあるので、踏みつぶさないように足元に注意しながら、木の幹をじっくり見て幼虫を探します。斜面を上がったところの桜の木の裏側を見ると、「いた!」ちょうど羽化の真っ最中のセミがいました。いわゆる「イナバウアー」と呼んでいる反り返った状態でした。セミの幼虫は、羽化が始まると背中が縦に割れて、上半身が出てきて一旦後ろに反り返り、抜けた6本の足が固まったあとで再度殻にしがみつき、下半身を抜きます。その後で4枚の羽が拡がって普通のセミの形になります。この時点ではセミの体は真っ白、羽はエメラルドグリーンで、まるで妖精のような雰囲気です。

観察しているうちに、同じ木の裏側で、もう1匹のセミの幼虫がじっとし始めました。背中が盛り上がってきて、羽化が始まります。今度は始めから観察、ということで、2匹のセミを交互に見比べました。私も含めて45人で見ていたのですが、みんな蚊に刺されてかゆがりながらも、目を離すことはできません。「がんばれ!」とか「足が抜けた!」とか「すごいなあ~」とか口々に周りの人に教えあいます。こういう雰囲気になると、ほんとにいい観察会になるんですよね。

「羽化が始まると懐中電灯で照らしてもよい」と教えてもらいました。まだ歩いている幼虫を照らすと、安心できず、どんどん上の方に歩いていってしまうそうですが、羽化が始まると多少照らしても、それが原因で止めてしまうことはないと聞いて、安心します。写真を撮る時も、フラッシュをたくよりも、ライトを照らしながら普通に撮影した方がきれいにとれると聞いていたので、みんなシャッターを切り続けました。

終わる頃、みんなに聞いてみると、「友達や家族に見せてあげたい」とみんなが言ってくれたので、ほんとによかったなあと思いました。中には、来週私たちの家の近くの公園で観察会をやろうと思うんです!といううれしい声もありました。感動したものは人に見せたくなるものです。私も、この場所に、また誰かを連れてきたい、と思いました。この場所、とてもいいのです。

15年前、初めてセミの羽化の観察会のスタッフをしたのは河内長野の烏帽子形公園でした。一般の参加者は30人くらいいたでしょうか、セミの幼虫がほとんど見つからず、ようやく1匹だけ羽化が始まったのが、だいぶ高い位置で、じっくり観察することができなかった思い出があります。「セミの幼虫を探すのがたいへん」と思い込んでいましたので、あんなにたくさんいるのは嘘みたいでした。でも、普通に歩いていたら、暗くてまったく気づかないんですよね。まあ、だからこそ、セミたちは暗くなるのを待って出てくるのですが。

2匹目の「イナバウア」の途中で帰りましたが、帰り道でもあちこちでいろいろな段階の羽化の様子を観察することができ、合計20匹ほどのセミの羽化を見ることができました。私が見たのはクマゼミばかりだったと思いますが、中には少数ですがアブラゼミも羽化していたそうです。

というわけで、去年から準備してきた「セミ羽化ウォッチングinおおさか」が無事にスタートしました。セミ羽化の季節は短いですが、だからこそ年に一度のイベントとして、盛り上げていきたいと思います。

あなたもセミ羽化ウォッチングしてみませんか?