2011年3月23日水曜日

堺2区観察会は雨で中止

2区生物共生型護岸での初めての自然観察会は雨で中止でした。いつもながら、中止の判断にはものすごくエネルギーが要ります。中止と決めてから雨があがったらどうしよう、なんて悩んだりして、まるで子どもみたいです。

それでも、生きものがどのくらいいるのか、潮がどのくらい引いているのか、いろいろ確かめたくて、ボランティアスタッフ有志で現場へ行きました。到着したのは11時。観察会ではすでに干潟におりて生き物さがしをしているタイミングでしたが、なんとまだ干潟は水面の下。これでは一般の人におりてみようとは、なかなか言いづらい・・・。

よく考えるとここは大和川の河口。昨日から降り続いた雨は、奈良盆地一帯からここを目指して集まってきているのでした。同じ日に大和川下流の河川敷で自然観察会をしていたまっちゃんが、水位がいつもよりかなり高くなっていたと教えてくれました。

その後、みるみるうちに水位は下がり、予定通りの状況になっていきましたが、本番の観察会で慌てるところでした。そういうことも想定しておかなくてはならないと今更ながら気づきました。

もうひとつの誤算と言えば、ヤドカリがあまり見つからなかったことです。前に来た時はけっこうたくさんいたので高をくくっていたのですが、今回は3匹。この日のために本多さんが作ってくれた「ヤドカリレース場」での世界初のヤドカリレースの出走は2匹でした。1匹は走る気なし、もう1匹が断トツでゴール。これは盛り上がります。実際には、観察会の参加者に走りの速そうなヤドカリを見つけてきてもらい、競争させる予定です。きっと、堺2区の名物イベントになること間違いなしです。・・・そのためにも、ヤドカリがもっとたくさん見つかるようにならないとね。

ただ、不安材料は、この海岸には今のところ「巻き貝」がほとんどいないことです。ヤドカリたちは、最初に運んできた砂に混ざっていた貝殻を使って生活しています。貝殻が供給されないと、ヤドカリは増えるどころか減っていくでしょう。イシダタミガイやイボニシなど、ヤドカリが好きそうな巻き貝がすみつき始めるのはいつのことでしょうか。こうして、いろいろな生きものたちが、他の生きもののおかげで生きることができる、ということを再確認したのでした。
 
本多さんはもう一つ仕掛けを作ってくださいました。竹ぼうきの先を切り落として水につけておくと、エビが集まるというのです!2日前に仕掛けたワナを引き上げて、ジャバジャバと洗うと・・・ヨコエビとその仲間がたくさんと、カニの子どもが5匹ついていました。エビは残念ながら採れませんでした。これは、いろいろな時期に、いろいろな地域で同じ実験をすることで、環境を定量的に調べようとするものです。観察会では、楽しむばかりではなく、環境を調べたりすることも大切なのですね。

そうこうしているうちにどんどん潮は引いてゆき、3段ある干潟の1段目の水がほとんどなくなろうとしていました。「カレイの赤ちゃん発見!」逃げ場がなくなって、体長3cmくらいのカレイが取り残され始めたのです。ボラみたいな魚の赤ちゃんとともに、全員で救出作戦を開始しました。ボラ?はたくさん、カレイは約15匹を救出しました。

カレイの赤ちゃんは砂と同じ色で、ほんとに見つけにくいです。こちらは助けてやろうとしているのに、保護色で見えません。もちろん、カレイたちは私たちにつかまらないようにじっと身を潜めているのです…。でも、カレイの赤ちゃん、ほんとにかわいくて、彼らも「堺2区のアイドル」候補No.1というところです。

ここは「生物共生型護岸」として作られており、魚たちが取り残されてしまう構造は砂の流失を防ぐためには仕方ないのですが、毎日2回潮が引くたびに魚たちが取り残されてしまうというのはなんともやりきれないなあ・・・と言っていたら、「それを食べるために野鳥が集まってくるからそれもまた共生では?」なんて言っている人も。いろいろな見方があります。

この日の最干潮は1350分。13時の時点で3段目の干潟まで降りられる状態になり、ずいぶん広く感じました。ただ、深いところにもそれほど変わった生き物は見つけられませんでした。

今回もう一つうれしいことは、参加申し込みをされていた方の中に、一緒にボランティア活動をしたいと言ってくれる方がおられたことです。彼は、「まちづくり」の勉強をされており、数ある観察会の中から、これを選んで参加してくださったようです。そう・・・この活動も「まちづくり」なんだと思います。

観察会は514日(土)に延期することに。65日(日)には「大阪湾生き物一斉調査」をここで行います。この海岸の愛称も募集する予定です。ぜひ、ヤドカリレース&カレイの赤ちゃんに会いに、たくさんの人に来ていただければと思います。

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