2011年6月29日水曜日

自然の見方・とらえ方

 シニア自然カレッジというシニア向けの講座があります。よく似た名前のシニア自然大学は有名で、内容も似ているのですが、カレッジは大阪南部が活動の中心です。毎週1回で1年間、山や森や公園などに出かけて自然のこと、生き物のことを学ぶ講座です。今年で6年目になりますが、1年目から毎年第1回目の講座「自然の見方」を受け持っています。

 これまで5年間は5月に第1回が行われていたのですが、今年は4月に変更になりました。いつものところでいつもの生き物が見られないかも、ということでちょっとドキドキしながら、いちおう1時間前から下見をしました。これを見せよう、あれを話そう、こんな風にきいてみようかとか、こんなことをしてもらおうかとか、あれこれ考えながら、とても気持ちのいい散歩の時間をすごしました。
 
 受講生は15人で、親と同じくらいの世代。第1回の講座ということで皆さん緊張気味です。観察の心がまえなどを少し話した後、さっそく野外へ。たまたまそこに生えていたスズメノエンドウの小さな花や豆のさや、葉っぱやツルのつき方をじっくり観察することから始まりました。いつもながら行き当たりばったりですが、なかなか好評でした。

 桜の木の下では、葉桜になったとたん忘れ去られたソメイヨシノの葉っぱを観察。空に透かしてみたら、葉脈がとても美しく、樹木の体を維持する仕組みを話しました。ここでいつもの質問「この葉っぱの原材料は?」・・・「土の中の養分?」「肥料?」「光合成?」・・・私の答えは「空気と水」です。このたくさんの葉っぱが二酸化炭素と水から作られているということを思い出してください。科学技術がいくら発展しても、ただの葉っぱが何億年もやり続けているこの作用を人がすることはできないのですよね。

 毎年一番盛り上がるのはイチョウの花を観察することです。今年はいつもより早かったので、初々しい雄花も見ることができました。60才を過ぎて、生まれて初めてイチョウの花が咲いているのを見たという人がほとんどです。私自身も、25歳の時に初めて見て、その時の体験が今のこの講座につながっています。「身のまわりの生き物たちの移り変わりに気づくこと」は地球の未来のためにとても必要な感性だと思います。

 このあとも公園内をぶらぶら歩きながら、いつもと同じアカマツやクスノキ、アラカシ等を観察しました。1年間の講座では、名前や見分け方など、おそらく知識中心に教える先生方が多いのではないかと予想しています。それはそれで楽しいのですが、そのやり方では先生がいないと楽しめない、ましてや人に伝えるなんて・・・ということになりかねません。自分なりの見方で観察して、自分にとっての発見に価値を見出すことができれば、きっと人にも話したくなります。そんな1年間を過ごしていただきたいと、最初の講義を締めくくりました。

シニア自然カレッジ

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