2011年7月17日日曜日

セミ羽化ウォッチングの講習会


撮影:トモさん

セミ羽化ウォッチングの講習会に参加しました。716日(土)は、協会35周年記念事業の「みんなでセミ羽化ウォッチングinおおさか」の始まる日でもあります。会社に19時までいたので、到着したのは20時前でしたが、ちょうど「紙芝居」の実演練習が始まろうとしているところでした。

会場は桜の宮公園。JR桜の宮駅から歩いて5分とかからないところで、総勢19人のおとなばかりの集団が「セミ太郎の一生」という紙芝居を楽しんでいました。紙芝居と言っても、途中で何度もクイズのコーナーがあり、その都度セミ博士が登場してクイズを出してくれるという、参加型の学習プログラムです。10年以上も前から毎年使われているというだけあって、シナリオも完成度が高く、これから始まるセミ羽化観察の注意事項もとてもわかりやすくまとめられていました。

紙芝居が終わると、受講者たちは一斉に紙芝居に群がっていきました。シナリオのコピーがほしいとか、紙芝居自体を貸してくれとか、コピーを取らせてもらえないかとか、盛り上がっていました。今回の一斉観察会では、これまで各地域観察会で培ってきたこれらのノウハウを交流し、さらに高めていくことを目的の一つとしているので、こういうのもまあいいか、という感じです。賛否あると思いますが、観察会では、よくできた小道具が成功を左右する場合もありますし、初めて観察会をしようとする人のハードルが下がるなら、いいことだと思います。

いよいよセミを探しに行きました。幼虫がそのへんの地面の上をうろうろしていることがあるので、踏みつぶさないように足元に注意しながら、木の幹をじっくり見て幼虫を探します。斜面を上がったところの桜の木の裏側を見ると、「いた!」ちょうど羽化の真っ最中のセミがいました。いわゆる「イナバウアー」と呼んでいる反り返った状態でした。セミの幼虫は、羽化が始まると背中が縦に割れて、上半身が出てきて一旦後ろに反り返り、抜けた6本の足が固まったあとで再度殻にしがみつき、下半身を抜きます。その後で4枚の羽が拡がって普通のセミの形になります。この時点ではセミの体は真っ白、羽はエメラルドグリーンで、まるで妖精のような雰囲気です。

観察しているうちに、同じ木の裏側で、もう1匹のセミの幼虫がじっとし始めました。背中が盛り上がってきて、羽化が始まります。今度は始めから観察、ということで、2匹のセミを交互に見比べました。私も含めて45人で見ていたのですが、みんな蚊に刺されてかゆがりながらも、目を離すことはできません。「がんばれ!」とか「足が抜けた!」とか「すごいなあ~」とか口々に周りの人に教えあいます。こういう雰囲気になると、ほんとにいい観察会になるんですよね。

「羽化が始まると懐中電灯で照らしてもよい」と教えてもらいました。まだ歩いている幼虫を照らすと、安心できず、どんどん上の方に歩いていってしまうそうですが、羽化が始まると多少照らしても、それが原因で止めてしまうことはないと聞いて、安心します。写真を撮る時も、フラッシュをたくよりも、ライトを照らしながら普通に撮影した方がきれいにとれると聞いていたので、みんなシャッターを切り続けました。

終わる頃、みんなに聞いてみると、「友達や家族に見せてあげたい」とみんなが言ってくれたので、ほんとによかったなあと思いました。中には、来週私たちの家の近くの公園で観察会をやろうと思うんです!といううれしい声もありました。感動したものは人に見せたくなるものです。私も、この場所に、また誰かを連れてきたい、と思いました。この場所、とてもいいのです。

15年前、初めてセミの羽化の観察会のスタッフをしたのは河内長野の烏帽子形公園でした。一般の参加者は30人くらいいたでしょうか、セミの幼虫がほとんど見つからず、ようやく1匹だけ羽化が始まったのが、だいぶ高い位置で、じっくり観察することができなかった思い出があります。「セミの幼虫を探すのがたいへん」と思い込んでいましたので、あんなにたくさんいるのは嘘みたいでした。でも、普通に歩いていたら、暗くてまったく気づかないんですよね。まあ、だからこそ、セミたちは暗くなるのを待って出てくるのですが。

2匹目の「イナバウア」の途中で帰りましたが、帰り道でもあちこちでいろいろな段階の羽化の様子を観察することができ、合計20匹ほどのセミの羽化を見ることができました。私が見たのはクマゼミばかりだったと思いますが、中には少数ですがアブラゼミも羽化していたそうです。

というわけで、去年から準備してきた「セミ羽化ウォッチングinおおさか」が無事にスタートしました。セミ羽化の季節は短いですが、だからこそ年に一度のイベントとして、盛り上げていきたいと思います。

あなたもセミ羽化ウォッチングしてみませんか?

2011年6月29日水曜日

セミ羽化ウォッチングをみんなで!



普及部理事として5年間、いろいろなことを試みたり、いろいろな事情で試みられなかったり、うまくいったり、いかなかったり…。今年、新たな動きが始まっています。

きっかけは「どんぐりまつり」担当の杉本理事の「セミ羽化まつりもやろうや…」の一言。2月の「自然観察会グループ連絡会議」で提案したところ、これまで毎年セミ羽化観察会を続けてきた地域観察会の皆さんからも賛同をいただき、3月にさっそく第1回実行委員会を開催しました。これまでに使われた配布資料や紙芝居がたくさん集まり、アイデアもいっぱい出していただきました。

「その気」になっていただいているのは地域観察会だけではありません。そよごの会や空の会昆虫部会の皆さんも実行委員会に集まってくださり、協会全体的なコラボレーションが進みつつあります。そんな盛り上がりを受け、この事業を35周年記念事業として実施することが理事会で承認されました。

正式名は「みんなでセミ羽化ウォッチングinおおさか」に決まりました。「セミ羽化ウォッチング」と称してセミ羽化観察会を開催していただける地域グループを募ります。共通の小冊子「かんさつノート」を作り、セミ羽化の感動を広めていこうと考えています。ここまでが第一歩。

今回の取り組みの特徴は、大規模な「観察会」だけではなく、個人・家族レベルでの観察を推奨しようとしているところです。そのため、7月中旬には一般向け「セミ羽化講習会」を開催、また個人リーダー向けのテキストも作成して、どうやれば家の近所で自分の周りの人とセミ羽化を観察できるかということも紹介していきます。

そこにこだわったのは、1年前の私自身の体験がベースです。杉本理事が団地でセミ羽化観察をされているという話に触発され、うちの子たちを連れて、初めてうちの近所でセミ羽化観察に成功し、近所のお友達を呼び出して、感動の夜を過ごしました。セミ羽化は大人数で集まる「まつり」というより、少人数で静かに楽しむ雰囲気がぴったりです。「みんなで」というタイトルには、そんな思いが込められています。

セミ羽化は、田舎よりも都会の方が観察しやすいと言えそうです。地域でのセミ羽化観察会が増え、家族的な規模のミニ観察会が増えて、お花見や紅葉狩りのような年中行事になったらいいなあ。大阪ならではの、そんな運動を盛り上げていきたいです。今年の夏からあなたもぜひ!


~ 生命の神秘を感じよう 感動の体験を子どもたちと ~

自然の見方・とらえ方

 シニア自然カレッジというシニア向けの講座があります。よく似た名前のシニア自然大学は有名で、内容も似ているのですが、カレッジは大阪南部が活動の中心です。毎週1回で1年間、山や森や公園などに出かけて自然のこと、生き物のことを学ぶ講座です。今年で6年目になりますが、1年目から毎年第1回目の講座「自然の見方」を受け持っています。

 これまで5年間は5月に第1回が行われていたのですが、今年は4月に変更になりました。いつものところでいつもの生き物が見られないかも、ということでちょっとドキドキしながら、いちおう1時間前から下見をしました。これを見せよう、あれを話そう、こんな風にきいてみようかとか、こんなことをしてもらおうかとか、あれこれ考えながら、とても気持ちのいい散歩の時間をすごしました。
 
 受講生は15人で、親と同じくらいの世代。第1回の講座ということで皆さん緊張気味です。観察の心がまえなどを少し話した後、さっそく野外へ。たまたまそこに生えていたスズメノエンドウの小さな花や豆のさや、葉っぱやツルのつき方をじっくり観察することから始まりました。いつもながら行き当たりばったりですが、なかなか好評でした。

 桜の木の下では、葉桜になったとたん忘れ去られたソメイヨシノの葉っぱを観察。空に透かしてみたら、葉脈がとても美しく、樹木の体を維持する仕組みを話しました。ここでいつもの質問「この葉っぱの原材料は?」・・・「土の中の養分?」「肥料?」「光合成?」・・・私の答えは「空気と水」です。このたくさんの葉っぱが二酸化炭素と水から作られているということを思い出してください。科学技術がいくら発展しても、ただの葉っぱが何億年もやり続けているこの作用を人がすることはできないのですよね。

 毎年一番盛り上がるのはイチョウの花を観察することです。今年はいつもより早かったので、初々しい雄花も見ることができました。60才を過ぎて、生まれて初めてイチョウの花が咲いているのを見たという人がほとんどです。私自身も、25歳の時に初めて見て、その時の体験が今のこの講座につながっています。「身のまわりの生き物たちの移り変わりに気づくこと」は地球の未来のためにとても必要な感性だと思います。

 このあとも公園内をぶらぶら歩きながら、いつもと同じアカマツやクスノキ、アラカシ等を観察しました。1年間の講座では、名前や見分け方など、おそらく知識中心に教える先生方が多いのではないかと予想しています。それはそれで楽しいのですが、そのやり方では先生がいないと楽しめない、ましてや人に伝えるなんて・・・ということになりかねません。自分なりの見方で観察して、自分にとっての発見に価値を見出すことができれば、きっと人にも話したくなります。そんな1年間を過ごしていただきたいと、最初の講義を締めくくりました。

シニア自然カレッジ

2011年6月1日水曜日

スティーブさんのレポート

1ヵ月半もブログが書けなかった理由を書きます。

スティーブ・バン・メーターという名前の先生がいます。ダースベーダーみたいな名前ですが、実際はサンタクロースみたいな真っ白なあごひげのおじいさんです。地球教育(アースエデュケーション)とインタープリティブデザインのワークショップをするために毎年来日されており、環境教育の世界ではまあまあ有名だと思います。

 私はアースエデュケーションの方はいまだに受講できていないのですが、インタープリティブデザイン(IPD)の第1回目のワークショップを2005年に、同じくIPDの実習編を2010年に受講しました。ワークショップは通訳付きで、本も和訳されていないので、ついていくだけでたいへんでした。スティーブさんは正確に翻訳されることにとてもこだわるので、翻訳の作業に時間がかかるのだということでした。

 さてその時に私にも翻訳が手伝えるものなら、、、という話をしていたため、4月にアースエデュケーションの機関誌の翻訳のお手伝いの依頼がありました。ちょうど時間に余裕がありそうな気がしたので、A4でたったの5ページなら、とお引き受けしたのです。それで、この苦難の1ヵ月半がスタートしたのです。

 やり始めて気付きました。翻訳なんて学生時代以来18年ぶりくらいでした。会社では翻訳担当という人がいるので、そんな長い文章を日本語に書き起こすなんて作業はすることがなかったです。英和辞典を開いたのもほぼ18年ぶりくらいだったと思います。

 最初失敗したのはGoogleの翻訳サイトを使ってみたことです。今どきとても便利だなあなんて思いながら、機嫌よく作業を進めていました。ただ、そのやり方だとPCがないと作業できず、通勤の電車でできたら進むのになあと思いながらも辞書が重いというイメージで、PCでの作業にこだわってしまったのです。4分の1ほど進んだところで、作業が進まなくなってしまいました。観察会のボランティアがいろいろと忙しくなってきて、会社もゴールデンウィークで忙しくなったためです。明日から、明日から、と毎日引き延ばすような状態になっていました。

 作業が進まなかった本当の理由は別にあります。訳してみても意味がわからない(つまり翻訳できない)部分がいっぱいあるのです。これは意外でした。書く、聞く、話すは全然できない私ですが、読むだけは自信があったのです。しかも内容は自分の専門分野ともいえる環境教育のことなので、専門用語もわかると思っていました。それがさっぱりなのです。時間がとりにくい、とれても作業が進まない、達成感がない、という悪循環で、何度かあきらめてしまいそうになりました。

 スティーブさんの英語はとても訳しにくいものでした。辞書に載っていなかったり、載っていても「古語」とか書いていたり、暗喩とか、反語とかが満載です。文章の内容が、英語で書かれた自然教育の本の批判だったので、皮肉とかもたっぷりで、しかもその本の内容を知らずに批評を理解しないといけないというとてもハードな状況でもありました。さらに文法的にも「仮定法過去」みたいな、普通使わないだろうというようなのがいっぱい。映画に出てくる固有名詞とかが急に出てきたり、わざと「反対の反対」みたいな言い方をしてみたり・・・と、とにかく翻訳者泣かせな文章だと思いました。(だから依頼されたみたいですが・・・)

 GWがすぎ、観察会もひと段落したころ、2度目の「待ってますコール」をいただき、ようやくスイッチが入りました。とにかく理解しきれずともとにかく最後まで訳を書いてからだと思いなおしました。そこで取り出したのが重たい英和辞典でした。電車の中でやれば少しずつでも進むのです。

 その英和辞典は高校の時から使っていたもので、一度調べた単語には必ず赤い線が引いてあるのです。それで何年も使ってきたので、今では赤い線の引いていないページはほとんどなく、たいていの単語は以前に調べたことがあるのでとても使いやすいのです。でも、今回は、赤線の引いていない単語の多さに驚きました。

 電車の中で重たい辞書を見ながら少しずつ作業が進み始めました。それでようやく一番最後まで読み終えたところで出てきたのがスティーブさんの署名でした。訳文を書き終えて、最後に「スティーブ・バン・メーター」と書いた瞬間に、「あーやっぱりスティーブさんに見せても恥ずかしくない文章にしなくてはいけない。この文章が誤解を与えてスティーブさんが誤解を受けるようなことになってはいけない。」と強く感じました。そしてまた最初から読み直し、書き直し、辞書を引き直し、という作業を2回くらい繰り返すことになりました。

 最後は、どちらかというと力尽きた、という感じになりました。締め切り的にももうこれ以上は延ばせないという気がしたのと、私の英語力では限界であると感じました。正直言って、まだよくわからない部分があります。わからないから、こうだと決めてしまっているところもあります。英文を読んでいる私でもわからないのだから、訳した日本語だけ読んだ人がわかるわけがありません。でも、これ以上は無理だと思い、提出しました。ベテランの方が手直ししてくださることを少し期待しています。

 翻訳というのはとてつもなくたいへんな作業だと思いました。でも、最後の1週間、スティーブさんの名誉のために頑張っていた頃は、ずいぶん楽しんでおり、夜中に何時間でも作業を続けられるようになっていました。ちょうど枝廣さんの翻訳講座の案内があり、とても受講してみたくなりました。ということで、途中後悔して「もう二度とやらない」なんて思っていた割には、今ではまたやってもいいかな、と思っています。

 ただ、やはりこういう重たい仕事を引き受けてしまうと、ブログは書けなくなってしまいました。ボランティアの仕事って勤務時間という概念がないため、そうなってしまうところがあります。今後、そうなってしまわないようになれれば、と思います。

 このスティーブさんの文章は、地球教育研究所日本支部の会員の方しか読むことができないようです。百人くらいでしょうか。その中で、本当に読む人は、何人くらいでしょう。私のこの何十時間という仕事はそういう人のためなのでしょうか。勝手な言い方ですが、今回一番勉強になったのは私で、スティーブさんの言いたいことを一番理解できたのも私だと思います。個人授業を受けたみたいな気分でもあります。

 この文章を読んでみたいという方もおられるかもしれませんが・・・英語で読まれた方がいいと思います。

 ということで、今日からブログを再開します。5月の日付の分も、実際は今日以降に書いたものです。

2011年5月25日水曜日

堺2区初めての観察会

514日(土)には、堺2区での初めての公開観察会がありました。翌日の「カニつり」に参加者を取られた感があり参加者は4名、しかも知人ばかりでしたので、17名ものスタッフ勢および関係者もゆっくりと楽しむことができました。






1週間前に下見をしていたのですが、本番は下見の時ほどは潮が引かない日でした。でも、これまでと同じように人工干潟の水たまりに魚の稚魚が取り残され、同じように稚魚の救出に精を出しました。イシガレイもさらに大きくなって、7.5cmまで成長したものが採れました。だいたいこのくらいの季節にこのくらいの大きさになると、岸から離れていくそうです。50年以上も前の堺浜にも春にはカレイの稚魚がいたということです。今では砂浜がないだけで、人工的でも砂浜を作ればカレイがやってくるなんて、ほんとに感動的です。夏には見られなくなるのはさびしいですが、また来年も確実に会えると思うと、楽しみになります。

今回は、カレイとボラの他にも5種類ほどの稚魚が採集できましたが、それらが大人になったら何になるのか、さっぱりわかりませんでした。6月に「大阪湾生き物一斉調査」があるので、その時にはすべて何の魚か調べてやろうと思っています。参加者のお一人がなんと「投網」を持ってきてくださり、この人工護岸で初めて投網を打ってくださいました。何度目かのチャレンジで「ヒイラギ」がたくさん採れました。ヒイラギは水たまりに取り残されることもなく、投網がなければいるとも思わなかったでしょう。スタッフもすっかり投網がほしくなってしまいました。
「ウミガメがいた」と持って来られたのはミシシッピーアカミミガメの赤ちゃん。川に流されてここまで来てしまったのでしょう。「ミドリガメ」として売られているものよりもさらに小さく、おそらく最近孵化したばかりと思われました。
エビを集める仕掛けは、温かくなるにつれてたくさんのカニやエビが集まるようになって来ました。今回、スジエビが3匹、カニが100匹、ヨコエビが1000匹くらい採れました。これだけ大量に採れると興奮します。季節による変化、場所による変化を調べていきたいです。

ヤドカリレースを予定していましたが、ヤドカリはほとんど採れず、下見の時に急きょカニレースに変更になりました。カニ用のレース場を新たに作り、参加者が採ってきたカニたちの競争で盛り上がりました。ヤドカリが採れない理由は、おそらく貝がらが足りないのだろうと思われます。砂に混ざった小さな貝がらを使っているヤドカリは見つかるのですが、それ以上のサイズの巻き貝がこの場所には存在しないのです。石の裏などにも巻き貝は見られません。去年の調査でタマキビガイが見つかっているので、探せばいるのかもしれません。とにかくヤドカリにとっては、宿がなければ生きていけないのです。ヤドカリの赤ちゃんはどんどん流れてきて、小さな貝がらを背負ったものはたくさんいるのですが、大きい貝がらに引っ越しできず、隠れ家がなくて捕食されてしまうのではないかと思われます。ヤドカリにとっては酷な話ですが、ヤドカリが大きくなれる環境になるのはまだまだ先のような気がします。
フジツボが所々で剥がれおちているのも気になります。理由はよくわかりませんが、ナルトビエイがフジツボを食べるという話があります。投網や釣りでエイなんかが採れるようだったら、それはそれでまた盛り上がるだろうと思うので、登場を待ちたいと思います。

今回の参加者の方とスタッフの勤め先が小さな水族館で、採集した生き物を持ち帰ってくださいました。展示してみてくださるとのことでした。「堺2区水槽」みたいなコーナーができるかも、ということで、とても楽しみにしています。

2011年5月20日金曜日

カニつり

 515日、「楽しいカニつり」がありました。本当は「海のふしぎ観察会 川と干潟あそび」という名前で考えていますが、メインイベントがカニつりなので、手っ取り早くそう呼んでいます。もう10年以上前から、毎年1回実施しています。

 430日に下見をした時には干潟にもアシ原にもカニが少なく、少し心配でしたが、当日は一気に暖かくなり、いつも通りたくさんのカニたちが現れました。場所は、貝塚市の近木川の河口です。

 午前中は近木川河口に広がる干潟で生き物さがしをしました。隣に広がる砂浜である二色浜では潮干狩りシーズン真っただ中で、まわりにはバーベキューのグループがいっぱい。いいにおいが漂ってきます。

 私たちはいたって真面目に長靴にはきかえ、バケツを片手に生き物を探します。アサリなんかが見つかれば盛り上がるのでしょうが、ここにはアサリは見当たりません。シジミが1匹いました。他に食べられるといえばモクズガニが10匹ほどいましたが、いずれも観察した後で元いたところに戻しておきました。モクズガニは海に産み出された赤ちゃんが、川に戻ってきて、一旦上流の方まで遡り、また産卵が近付くと河口に下って来るのだそうです。ずいぶん長い旅をしているのだと感じます。

 河口干潟には、ケフサイソガニ、ユビナガホンヤドカリがたくさんいます。今年生まれたばかりの赤ちゃんガニや赤ちゃんヤドカリ(ちゃんと小さい貝がらに入っている)はほんとにかわいらしいです。小さな子どもでもたくさん集めることができるので、じっくり楽しめました。

 お昼を食べた後、200mほど上流のカニ釣りポイントへ移動しました。うっそうとアシが生えているところで岸壁沿いにタコ糸を垂らします。エサは何でしょうか。ここにすんでいるハマガニやクロベンケイガニは草食性なので、エサも植物系です。参加者みんなでがんばって20匹以上釣れました。中には釣れなくて泣いてしまう子もいます。そんなとき、次は家族で来てね、というのが合言葉です。観察会で楽しみ方を知ったら、家族や友達と一緒に近くの海に遊びに行けるようになってもらう、というのが常に私たちの目標です。

 うちの子どもは大きなカニと小さなカニをもって帰りました。次の朝には予想通り、小さい方は大きい方に食べられてしまっていました。いろいろな野菜を食べさせて、カニの好き嫌いがわかってきているようです。私は小さい時にあまりそんなことを学べず、結局会社で学んだようなことを、子どもたちが小さいうちから学んでくれたらいいと思っています。お父さんのような「飼育の下手な」おとなにはならないかなと思います。

2011年4月8日金曜日

磯あそびの下見


4月16日の観察会の下見に行きました。加太の城ヶ崎。この下見は特別バージョンで、別の団体の観察会を兼ねて実施したため、なかなか賑やかになりました。総勢30名くらい。寒かったです。

池辺先生に、十何回目かの磯の生きものの解説をしてもらいました。新しいスタッフが増えるたびに、先生は基本的なことから一つひとつ説明してくださいます。陸に一番近いところから順番なので、まずはタマキビという水に入らない小さな巻き貝。1センチ以下の石ころのような乾いた殻が無数にあり、これがすべて生きていて、エサを食べ、オスとメスがあり、卵を産む時だけ水に入り、赤ちゃんは海の中で成長し、ある時期が来るとまたどこかの海岸に定着して大きくなるのです。

磯の生きものは、想像を絶するような生き方をする、と感じることが多いです。ヤツデヒトデという生きものは、8本の腕のあるヒトデなのですが、ある時4本ずつに分裂して、分かれたところからまた新しく補充の4本が生えてきて、8本に戻るのです。8本の腕のうち、4本が長く、4本が短いのが見つかったら、これは分裂して間もない個体ということになります。これがけっこう見つかるのです。10センチ近くもあるいいおとなが分裂するって、すごいと思いません?私が今日から2人になったら、びっくりするでしょう?

2ミリほどの小さな白いウズマキゴカイというのが石の裏にびっしりと付いています。これも1つひとつがおとな(成体)で、渦巻き型の巣を作り、その先からエラを出して、ざるのように水中のエサを集めて食べています。もちろんそこまでは目では見えないのですが。たくさんの個体が石の裏について真っ白になっていると思ったら、その上にだいだい色の2ミリくらいの大きさの何かが付いています。これはウズマキゴカイだけを食べるオカダウミウシという生きものです。その隣に、同じ色のもっと小さい粒つぶが、1ミリの中に6粒くらい集まっています。これはオカダウミウシの卵です。そんな調子で、小さいものを見はじめたらキリがありません。

さわちゃんが、大発見をしました。だいだい色の美しいアカエラミノウミウシを2匹見つけました。これは最高に美しいです。4月16日の本番にも、参加者に見せてあげられたらいいと思いますが、これはわかりません。ここではかなり珍しいのです。このウミウシ、蓑のように見えるエラをふさふさと備えているのですが、実はこのエラの先には、毒針が付いています。ミノウミウシは、イソギンチャクだけをエサにしており、食べたイソギンチャクの毒針を、体の中を通ってエラの先まで運び、自分の身を守るために内側から植えるのだそうです。イソギンチャクをハサミや貝殻にくっつけるカニやヤドカリがいますが、これはまあ人間として理解できる生態です。それは外側から体にくっつけるからです。このウミウシは、内側から!スイカの種を食べたら背中から芽が出るぞ~の世界ですよこれは。やっぱり常識では考えられないでしょ!

今回初めて見たものは他にもあって、それは「フナムシの脱皮がら」です。フナムシは、上半身と下半身を別々に脱皮するのです。見つけたのは上半身の脱皮がら。なぜか、だいだい色をしていて、美しい。今度はきっと、下半身の脱皮がらを見つけてみたい・・・。嫌われ者のフナムシは、いつもたくさんいて、すべてのフナムシがこんな風に脱皮しているのに、それが15年目にして初めて見つかるなんて、これも何か秘密があるに違いありません。

こんなふうに、磯には、驚異の世界が広がっているのです。

道生画伯によるアオウミウシ
レイチェルカーソンは海洋生物学が専門でした。彼女の『センス・オブ・ワンダー』という発想は、きっとこういった海の生きものの驚くべき生きざまに出会った時の「ワンダー」から生まれたのではないかなあ、と勝手に想像しています。磯は『センス・オブ・ワンダー』を最も感じられる場所と言っても過言ではないと思います。

観察会のタイトルは15年前から「さがそう!海のたからもの」です。これがぴったりです。

今回、新しく、写真入りのチラシを作ってみました。新しいコピーも考えました。


さがそう!海のたからもの

ヤドカリ、カニ、ウニ、ヒトデ、ナマコ、イソギンチャク、ウミウシ、アメフラシ…
潮(しお)が引いて海からあらわれた磯(いそ)で、
「名まえは知っているけど、今まで見たこともさわったこともない…」
そんなフシギな生きものをさがして、見つけて、楽しく遊びましょう。
今年はタコは採れるかな? 生きものの実験もあるよ!


せっかくの機会なので、できるだけたくさんの人を誘って、生まれて初めての感動体験をしてもらいたいです。

2011年4月1日金曜日

ヤドカリのおもしろい生態

 ヤドカリについて書いたので、読んでください。

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 「大好きな貝殻拾い。どれだけ拾ってもタダ。誰にも迷惑をかけない」と思っていたら、「拾わんといて!」と叫ぶ声が…。エビやカニの仲間のヤドカリは隠れ家である貝殻を自分では作れない。彼らの祖先は私と同じく山のように落ちている貝殻に目をつけ、拝借することにした。その住みかを背負って持ち歩き、成長に合わせてより大きい殻に引越しを繰り返す。自分で家を作り続ける巻き貝に比べると楽に住みかを手に入れているように思うが、実際はその住宅事情も結構厳しいようだ。

 磯で宿無しヤドカリが時々見つかる。貝殻を目の前に置くと少し調べて、素早く入る。少々合わなくても宿無しよりはいいと見える。しかしまた別の殻を置くとすぐにはさみで計測し、気に入ると引越しする。しばらくして元の殻に戻ることもあり、「住んでみないと住み心地はわからない」とでも言いたげなこだわり派である。引越し前の殻は置きっぱなしだが、すぐに他の誰かが品定めに来る。ヤドカリの住みかはいつも満員で、「引っ越したいけどいい物件がない」という入居待ち状態だ。

 ある時、ヤドカリを何匹か入れたバケツから「カンカン」と大きな音が。1匹のヤドカリがもう1匹に貝殻を打ちつけている。音の大きさからしてかなりの衝撃。やがてやられた側は裸で飛び出し、やった側は残された殻に引っ越して「どうだ」みたいな顔。擬人化はよくないが、これって「地上げ」だよなー。夢のマイホームをめぐっては、ほんといろいろなドラマがあるようだ。

 カニはハサミで身を守る攻撃型、エビは素早さや遊泳力で勝負。ヤドカリは借りた殻に閉じこもり防戦一方で、殻がなければ生きていけない。殻から引っぱり出そうとすると体がちぎれてしまうくらい必死で殻にしがみつく。そんな彼らを無傷で貝殻から追い出す方法がある。「地上げ」と同じ要領で石などで叩くと出てきたりするが、経験上とても時間がかかる。私たちの観察会では“熱湯風呂”。フィルムケースのふたに穴をあけて熱湯を満たし、ヤドカリの貝殻の先だけを浸ける。手で支えていると、慌てたように自ら出て来る。少しでも驚かすとおびえてしまい、湯だってしまうから注意が必要である。

裸のヤドカリなんて普通の人は見たことがなく、命からがら逃げ出したヤドカリを見てみんな大喜び。おなかは柔らかく、貝殻の家にあわせて右に曲がっている。よく数えると脚もちゃんと5対あり、カニやエビと同数である。よく観察した後で、目の前に貝殻をおいてやる。お尻をさっと殻に差し入れ、素早く背負って態勢を立て直すのを見て、その必死さにまた歓声が上がる。

秋に多いのはオスがメスを連れ歩く姿。手をつないでいるかと思ってよく見るとオスははさみでメスの殻の縁をつまんで、引きずっている。実はこのメスは殻の中で卵を抱いており、間もなく幼生を海へ放出する時期。でもオスがイクメンなのかと思ったら大間違いで、メスが幼生を放出したら真っ先に次の交接をしようとキープしている姿なのである。計画通りに交接したらメスは置き去りに…メスはまた次のオスに連れまわされ…そうしてみんなで計画的に生きているということらしい。

 こうして放出された赤ちゃんは、プランクトンとして海を漂い旅をして、ほとんどが魚などのエサになりながらもやがてふたたび海岸へたどり着き、小さな貝殻を見つけて宿借り生活に入る。流行りのチリモンの中にヤドカリの幼生を見つけると、その長い旅が実感できるが、磯にいるすべてのヤドカリがそんな過酷な旅をしてきたのかと思うと畏れ多い。大阪にも本当にたくさんのヤドカリがいるので、もし出会ったらぜひじっくりとその“宿借り人生”を観察してみてほしい。

2011年3月31日木曜日

海のふしぎ観察会


 1996年にスタートした私たちのボランティアグループ「海の観察会」は、毎年35回の海辺の自然観察会を開催してきました。15年前の10月に開催した第1回は和歌山市の加太海岸城ヶ崎。これまで各地で約60回の観察会をしましたが、そのうち城ヶ崎は20回ほどで最もよく通ったフィールドです。

 城ヶ崎は「大阪湾の出口を出てすぐのところ」という感じですが、その生物相の豊かさは湾内とは比べ物にならないほどだそうです。先週行われた海岸生物調査では70種以上の海藻と140種以上の海岸動物が確認されたとのこと。これは磯の潮間帯だけの種数ですので、もっと深いところとか、砂浜や河口干潟などを含めると、もっと多くの種類の海岸生物がいるということになります。

 私たちに磯観察について教えてくださった池辺先生は、このフィールドでの観察を何十年も前から続けられています。私たちの観察会にもその下見にもいつもお付き合いくださり、初めてのスタッフには基本的な説明を何度でも繰り返してくださいます。

 城ヶ崎はなんばから電車で90分、駅から徒歩で30分と、けっこう遠いです。岬町などにも磯はあるので、そっちにしておこうかと思うことも多いですが、それでも頑張って遠出する価値があるくらい1日中楽しめます。また、潮が引いて干上がる部分の面積は広く、以前は定員100人で実施したこともありましたが、最近は40人くらいで実施しています。

 どんな生き物がいるかというと、カニ、ヤドカリ、エビ、フジツボ、イソギンチャク、カイメン、ヒトデ、ウニ、ナマコ、ゴカイ、カサガイ、ヒザラガイ、アメフラシ、ウミウシ、タコ、ヒラムシ・・・これ全部、ほぼ確実に見つけられ、さわれるんです。名前は知っていたけれど、実物を見たのは生まれて初めて、という参加者がほとんどですが、大阪から日帰りでいけるところでそんな体験ができるということで、どなたにもとても満足していただけています。

 私たちも、何度行っても、行くたびに新しい発見があり、1年に1回くらいは行きたいね、ということで、今回も城ヶ崎での開催となりました。とにかく春の海辺の気持ちのいいこと。波の音を聞きながら、ぼーっと海を眺めるだけでも、ずいぶんリフレッシュできることと思いますよ。

 2011416日に開催します。申込締切も近づいていますので、詳しくは以下のサイトをご覧ください。
http://www.nature.or.jp/events/2011/gyouji201104.htm
私の一番好きな生き物「アメフラシ」をひとりでも多くの人に見せてあげたい気持ちです。ぜひ一度ご参加ください。

2011年3月23日水曜日

堺2区観察会は雨で中止

2区生物共生型護岸での初めての自然観察会は雨で中止でした。いつもながら、中止の判断にはものすごくエネルギーが要ります。中止と決めてから雨があがったらどうしよう、なんて悩んだりして、まるで子どもみたいです。

それでも、生きものがどのくらいいるのか、潮がどのくらい引いているのか、いろいろ確かめたくて、ボランティアスタッフ有志で現場へ行きました。到着したのは11時。観察会ではすでに干潟におりて生き物さがしをしているタイミングでしたが、なんとまだ干潟は水面の下。これでは一般の人におりてみようとは、なかなか言いづらい・・・。

よく考えるとここは大和川の河口。昨日から降り続いた雨は、奈良盆地一帯からここを目指して集まってきているのでした。同じ日に大和川下流の河川敷で自然観察会をしていたまっちゃんが、水位がいつもよりかなり高くなっていたと教えてくれました。

その後、みるみるうちに水位は下がり、予定通りの状況になっていきましたが、本番の観察会で慌てるところでした。そういうことも想定しておかなくてはならないと今更ながら気づきました。

もうひとつの誤算と言えば、ヤドカリがあまり見つからなかったことです。前に来た時はけっこうたくさんいたので高をくくっていたのですが、今回は3匹。この日のために本多さんが作ってくれた「ヤドカリレース場」での世界初のヤドカリレースの出走は2匹でした。1匹は走る気なし、もう1匹が断トツでゴール。これは盛り上がります。実際には、観察会の参加者に走りの速そうなヤドカリを見つけてきてもらい、競争させる予定です。きっと、堺2区の名物イベントになること間違いなしです。・・・そのためにも、ヤドカリがもっとたくさん見つかるようにならないとね。

ただ、不安材料は、この海岸には今のところ「巻き貝」がほとんどいないことです。ヤドカリたちは、最初に運んできた砂に混ざっていた貝殻を使って生活しています。貝殻が供給されないと、ヤドカリは増えるどころか減っていくでしょう。イシダタミガイやイボニシなど、ヤドカリが好きそうな巻き貝がすみつき始めるのはいつのことでしょうか。こうして、いろいろな生きものたちが、他の生きもののおかげで生きることができる、ということを再確認したのでした。
 
本多さんはもう一つ仕掛けを作ってくださいました。竹ぼうきの先を切り落として水につけておくと、エビが集まるというのです!2日前に仕掛けたワナを引き上げて、ジャバジャバと洗うと・・・ヨコエビとその仲間がたくさんと、カニの子どもが5匹ついていました。エビは残念ながら採れませんでした。これは、いろいろな時期に、いろいろな地域で同じ実験をすることで、環境を定量的に調べようとするものです。観察会では、楽しむばかりではなく、環境を調べたりすることも大切なのですね。

そうこうしているうちにどんどん潮は引いてゆき、3段ある干潟の1段目の水がほとんどなくなろうとしていました。「カレイの赤ちゃん発見!」逃げ場がなくなって、体長3cmくらいのカレイが取り残され始めたのです。ボラみたいな魚の赤ちゃんとともに、全員で救出作戦を開始しました。ボラ?はたくさん、カレイは約15匹を救出しました。

カレイの赤ちゃんは砂と同じ色で、ほんとに見つけにくいです。こちらは助けてやろうとしているのに、保護色で見えません。もちろん、カレイたちは私たちにつかまらないようにじっと身を潜めているのです…。でも、カレイの赤ちゃん、ほんとにかわいくて、彼らも「堺2区のアイドル」候補No.1というところです。

ここは「生物共生型護岸」として作られており、魚たちが取り残されてしまう構造は砂の流失を防ぐためには仕方ないのですが、毎日2回潮が引くたびに魚たちが取り残されてしまうというのはなんともやりきれないなあ・・・と言っていたら、「それを食べるために野鳥が集まってくるからそれもまた共生では?」なんて言っている人も。いろいろな見方があります。

この日の最干潮は1350分。13時の時点で3段目の干潟まで降りられる状態になり、ずいぶん広く感じました。ただ、深いところにもそれほど変わった生き物は見つけられませんでした。

今回もう一つうれしいことは、参加申し込みをされていた方の中に、一緒にボランティア活動をしたいと言ってくれる方がおられたことです。彼は、「まちづくり」の勉強をされており、数ある観察会の中から、これを選んで参加してくださったようです。そう・・・この活動も「まちづくり」なんだと思います。

観察会は514日(土)に延期することに。65日(日)には「大阪湾生き物一斉調査」をここで行います。この海岸の愛称も募集する予定です。ぜひ、ヤドカリレース&カレイの赤ちゃんに会いに、たくさんの人に来ていただければと思います。

2011年3月10日木曜日

松が丘小学校ビオトープ池のかいぼり

明石市立高齢者大学校あかねが丘学園というのがあり、2002年から景観園芸コースの授業をいくつか受け持っています。花壇の手入れや栽培の勉強をされているおじいさん、おばあさんたちに、自然観察のこと、子どもたちへの教育プログラムのことを実習してもらっています。

自然観察と景観園芸には「溝」があります。自然のありよう、より自然な状態に価値を感じる「自然観察」と、自然に手を加えること、いかに思い通りにするか、に価値を感じる「景観園芸」は、まさに正反対と感じることも多いです。この学園では卒業後はボランティアとして活動していけるようにカリキュラムが組まれているのですが、実際の卒業後の活動はすべて「花壇作り」などの園芸の領域でした。

そこで、最近4年くらい、ビオトープのことを授業に入れてきました。ビオトープは、自然のありようを大切にしつつ、自然に手を加える方法を考えるという点で、「溝」を埋めるテーマです。園芸とビオトープ作りは、「植物を植える」という点が共通しているので、少しは興味を持ってくださる方が、ちらほら出てきました。

ビオトープ管理士という資格があります。計画管理士と施工管理士の2種類がありますが、作る方ばっかりで、いかに使うかという視点が足りないような気がしています。いわば「ビオトープ活用管理士」というような専門家を養成すべきだと思っています。それはすなわち、ビオトープを使った環境学習を推進するインタープリターやファシリテーターの養成です。いまや、たくさんの学校にビオトープ池ができていますが、担当の熱心な先生の異動などにより、放置されているような例も多いと聞きます。地域のボランティアグループが、学校の先生と協力し、学校ビオトープの管理と活用を推進する仕組みも必要だと考えてました。

私はあかねが丘学園で、シニアによる「ビオトープ活用管理士」を養成しようと考えました。2年前には、あかねが丘学園の構内に教育用ビオトープ池を作ろうと計画しましたが、お金が足りず断念しました。それで今回、あかねが丘学園の近隣の松が丘小学校の池のかいぼりを、あかねが丘学園の生徒さんが実施することをあかねが丘学園と松が丘小学校の両者に提案し、何とか実現しました。

松が丘小学校との何度かの打ち合わせで、いまあるコイの池をビオトープ池に変更するということで承諾を得ました。これまで小動物や水草を食べつくしていたコイと、外来種であるアカミミガメ、それからヒメダカを搬出し、明石の在来の生物を搬入することにも納得してもらいました。最大の難問であった搬出先には某水族園との話がうまくいき、引き取っていただくことができました。

前置きが長くなりましたが、3月8日は、松が丘の小学3年生約70名と先生方、あかねが丘のおじいさん約20名、それから私たち保全協会の4名が力を合わせて松が丘小学校のコイの池のかいぼりをしました。あかねが丘の皆さんも準備万端の大活躍で、これをきっかけに松が丘小学校のビオトープ池を使ったイベントを継続的に実施していく自主活動グループが発足しました。

水は冷たかったですが、子どもたちは靴のままどろんこになり、メダカの救出にいそしんでいました。私自身は泥の中からミズカマキリを発見し、感激しました。他にはマツモムシやクロスジギンヤンマ、ミズムシがいましたが、ミズカマキリは珍しいと言われ、うれしかったです。子どもの頃は図鑑でしか見たことがなく、大学の時に水族館で実物を見ました。野生のミズカマキリを見たのは初めてで、松が丘の子どもたちはうらやましいなあと思いました。

いろいろ課題もありますが、ようやく「ビオトープ活用管理士」のボランティア養成において一つの成果をあげることができたと思います。これからの彼らの活躍に期待したいです。

さすがに明石は遠く、何度も足を運ぶのはたいへんです。大阪でもこんな取り組みができたらいいと思います。「ビオトープ活用管理士」が増えて、たくさんの子どもたちがビオトープで貴重な体験や学習をできるようにしていきたいです。

それにしても最近、おじいさんおばあさんの相談に乗ることが多いなあ・・・。

人命救助の感謝状

大阪市水上消防署から「人命救助」の感謝状をいただきました。職場の計6名でいただきました。

先月、会社の前の海に人が落ちたと連絡があり、浮き輪と縄ばしごを持って走りました。もっとたくさんの人が救出に関わっていたので、自分のお手柄という気持ちは全然ないのですが、無事に救出できてよかったと思います。もしも落ちたところを誰も見ていなかったら・・・と思うと、怖いです。

毎日毎日、いろんなことが起こります。人が海に落ちるのも、年に何回もあり、「またか」という感じです。犯罪関係の方がびっくりさせられることが多いですね。時々、悪い人をつかまえたりもします。

落ちた2人(若いカップル)からは、それ以来何の連絡もありません…。それもちょっとびっくりです。

2011年3月5日土曜日

自然観察インストラクター養成講座

私のボランティア活動の原点です。16年前に7ヵ月間に及ぶこの講座を受けて、
・自然の見方が変わりました。
・自然の伝え方が変わりました。
・教育の仕事をすることに決めました。
現在の会社以外の活動(仕事)や様々なネットワークはすべてここから始まりました。

受講後、7年間ほどの間は運営スタッフとして関わりました。もちろん今でもこの講座との関わりは続いており、1月にはこの講座のスタッフ17名の合宿の企画とファシリテーションを担当させていただき、けっこうハードな2日間を過ごしました。

自然観察会を実施するグループで活動するボランティアを養成する講座です。五感で自然を感じることと、生態学的に自然を理解することを大切にし、感動を人に伝え、自然を大切にする気持ちをはぐくみます。

(社)大阪自然環境保全協会という自然保護団体が主催者ですので、自然観察会は自然環境保全を目的とした教育活動と位置付けています。そのためにも、インストラクター個人を養成するだけではなく、インストラクターが集まってボランティアグループを運営していくことを目標としています。このグループは保全協会の地域支部のような存在となり、地元に密着した保全活動をしていくことを推進しています。

これまで20回で481名の修了者を排出し、現在保全協会に属する15の自然観察会グループのほとんどはこの講座の修了者が中心となって活動しています。

今年、21回目の講座の受講生を現在募集中です(314日締切)。ぜひ、大阪周辺の方に、おすすめください。

21 自然観察インストラクター養成講座(3/14締切)
~自然を伝えよう! 身近な人から未来の子どもたちへ~

身近な地域で自然観察会を開く、ボランティアリーダーの育成講座です。
自然の見方など基礎的な講義と体験の後、受講生自身による一般公開の観察会を企画・開催します。
【日 時】201142()1023()/全26
【会 場】大阪府環境情報プラザ他、府下各地。
【対 象】18歳以上で、「身近な自然を守るために何かやりたいと考えている人」
【定 員】25
【参加費】37,000
【申込み】住所、氏名、生年月日、性別(ふりがな)、電話番号を記入し、E-mail等にて下記へ。
【主 催】()大阪自然環境保全協会 インストラクター係
E-mail:instnature.or.jp(@を★に置き換えています)
【詳 細】:http://www.nature.or.jp/h_koza/inst/inst21/index.html
【説明会】3919時・31214時上記会場にて