2011年5月25日水曜日

堺2区初めての観察会

514日(土)には、堺2区での初めての公開観察会がありました。翌日の「カニつり」に参加者を取られた感があり参加者は4名、しかも知人ばかりでしたので、17名ものスタッフ勢および関係者もゆっくりと楽しむことができました。






1週間前に下見をしていたのですが、本番は下見の時ほどは潮が引かない日でした。でも、これまでと同じように人工干潟の水たまりに魚の稚魚が取り残され、同じように稚魚の救出に精を出しました。イシガレイもさらに大きくなって、7.5cmまで成長したものが採れました。だいたいこのくらいの季節にこのくらいの大きさになると、岸から離れていくそうです。50年以上も前の堺浜にも春にはカレイの稚魚がいたということです。今では砂浜がないだけで、人工的でも砂浜を作ればカレイがやってくるなんて、ほんとに感動的です。夏には見られなくなるのはさびしいですが、また来年も確実に会えると思うと、楽しみになります。

今回は、カレイとボラの他にも5種類ほどの稚魚が採集できましたが、それらが大人になったら何になるのか、さっぱりわかりませんでした。6月に「大阪湾生き物一斉調査」があるので、その時にはすべて何の魚か調べてやろうと思っています。参加者のお一人がなんと「投網」を持ってきてくださり、この人工護岸で初めて投網を打ってくださいました。何度目かのチャレンジで「ヒイラギ」がたくさん採れました。ヒイラギは水たまりに取り残されることもなく、投網がなければいるとも思わなかったでしょう。スタッフもすっかり投網がほしくなってしまいました。
「ウミガメがいた」と持って来られたのはミシシッピーアカミミガメの赤ちゃん。川に流されてここまで来てしまったのでしょう。「ミドリガメ」として売られているものよりもさらに小さく、おそらく最近孵化したばかりと思われました。
エビを集める仕掛けは、温かくなるにつれてたくさんのカニやエビが集まるようになって来ました。今回、スジエビが3匹、カニが100匹、ヨコエビが1000匹くらい採れました。これだけ大量に採れると興奮します。季節による変化、場所による変化を調べていきたいです。

ヤドカリレースを予定していましたが、ヤドカリはほとんど採れず、下見の時に急きょカニレースに変更になりました。カニ用のレース場を新たに作り、参加者が採ってきたカニたちの競争で盛り上がりました。ヤドカリが採れない理由は、おそらく貝がらが足りないのだろうと思われます。砂に混ざった小さな貝がらを使っているヤドカリは見つかるのですが、それ以上のサイズの巻き貝がこの場所には存在しないのです。石の裏などにも巻き貝は見られません。去年の調査でタマキビガイが見つかっているので、探せばいるのかもしれません。とにかくヤドカリにとっては、宿がなければ生きていけないのです。ヤドカリの赤ちゃんはどんどん流れてきて、小さな貝がらを背負ったものはたくさんいるのですが、大きい貝がらに引っ越しできず、隠れ家がなくて捕食されてしまうのではないかと思われます。ヤドカリにとっては酷な話ですが、ヤドカリが大きくなれる環境になるのはまだまだ先のような気がします。
フジツボが所々で剥がれおちているのも気になります。理由はよくわかりませんが、ナルトビエイがフジツボを食べるという話があります。投網や釣りでエイなんかが採れるようだったら、それはそれでまた盛り上がるだろうと思うので、登場を待ちたいと思います。

今回の参加者の方とスタッフの勤め先が小さな水族館で、採集した生き物を持ち帰ってくださいました。展示してみてくださるとのことでした。「堺2区水槽」みたいなコーナーができるかも、ということで、とても楽しみにしています。

2011年5月20日金曜日

カニつり

 515日、「楽しいカニつり」がありました。本当は「海のふしぎ観察会 川と干潟あそび」という名前で考えていますが、メインイベントがカニつりなので、手っ取り早くそう呼んでいます。もう10年以上前から、毎年1回実施しています。

 430日に下見をした時には干潟にもアシ原にもカニが少なく、少し心配でしたが、当日は一気に暖かくなり、いつも通りたくさんのカニたちが現れました。場所は、貝塚市の近木川の河口です。

 午前中は近木川河口に広がる干潟で生き物さがしをしました。隣に広がる砂浜である二色浜では潮干狩りシーズン真っただ中で、まわりにはバーベキューのグループがいっぱい。いいにおいが漂ってきます。

 私たちはいたって真面目に長靴にはきかえ、バケツを片手に生き物を探します。アサリなんかが見つかれば盛り上がるのでしょうが、ここにはアサリは見当たりません。シジミが1匹いました。他に食べられるといえばモクズガニが10匹ほどいましたが、いずれも観察した後で元いたところに戻しておきました。モクズガニは海に産み出された赤ちゃんが、川に戻ってきて、一旦上流の方まで遡り、また産卵が近付くと河口に下って来るのだそうです。ずいぶん長い旅をしているのだと感じます。

 河口干潟には、ケフサイソガニ、ユビナガホンヤドカリがたくさんいます。今年生まれたばかりの赤ちゃんガニや赤ちゃんヤドカリ(ちゃんと小さい貝がらに入っている)はほんとにかわいらしいです。小さな子どもでもたくさん集めることができるので、じっくり楽しめました。

 お昼を食べた後、200mほど上流のカニ釣りポイントへ移動しました。うっそうとアシが生えているところで岸壁沿いにタコ糸を垂らします。エサは何でしょうか。ここにすんでいるハマガニやクロベンケイガニは草食性なので、エサも植物系です。参加者みんなでがんばって20匹以上釣れました。中には釣れなくて泣いてしまう子もいます。そんなとき、次は家族で来てね、というのが合言葉です。観察会で楽しみ方を知ったら、家族や友達と一緒に近くの海に遊びに行けるようになってもらう、というのが常に私たちの目標です。

 うちの子どもは大きなカニと小さなカニをもって帰りました。次の朝には予想通り、小さい方は大きい方に食べられてしまっていました。いろいろな野菜を食べさせて、カニの好き嫌いがわかってきているようです。私は小さい時にあまりそんなことを学べず、結局会社で学んだようなことを、子どもたちが小さいうちから学んでくれたらいいと思っています。お父さんのような「飼育の下手な」おとなにはならないかなと思います。