ヤドカリについて書いたので、読んでください。
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「大好きな貝殻拾い。どれだけ拾ってもタダ。誰にも迷惑をかけない」と思っていたら、「拾わんといて!」と叫ぶ声が…。エビやカニの仲間のヤドカリは隠れ家である貝殻を自分では作れない。彼らの祖先は私と同じく山のように落ちている貝殻に目をつけ、拝借することにした。その住みかを背負って持ち歩き、成長に合わせてより大きい殻に引越しを繰り返す。自分で家を作り続ける巻き貝に比べると楽に住みかを手に入れているように思うが、実際はその住宅事情も結構厳しいようだ。
磯で宿無しヤドカリが時々見つかる。貝殻を目の前に置くと少し調べて、素早く入る。少々合わなくても宿無しよりはいいと見える。しかしまた別の殻を置くとすぐにはさみで計測し、気に入ると引越しする。しばらくして元の殻に戻ることもあり、「住んでみないと住み心地はわからない」とでも言いたげなこだわり派である。引越し前の殻は置きっぱなしだが、すぐに他の誰かが品定めに来る。ヤドカリの住みかはいつも満員で、「引っ越したいけどいい物件がない」という入居待ち状態だ。
ある時、ヤドカリを何匹か入れたバケツから「カンカン」と大きな音が。1匹のヤドカリがもう1匹に貝殻を打ちつけている。音の大きさからしてかなりの衝撃。やがてやられた側は裸で飛び出し、やった側は残された殻に引っ越して「どうだ」みたいな顔。擬人化はよくないが、これって「地上げ」だよなー。夢のマイホームをめぐっては、ほんといろいろなドラマがあるようだ。



こうして放出された赤ちゃんは、プランクトンとして海を漂い旅をして、ほとんどが魚などのエサになりながらもやがてふたたび海岸へたどり着き、小さな貝殻を見つけて宿借り生活に入る。流行りのチリモンの中にヤドカリの幼生を見つけると、その長い旅が実感できるが、磯にいるすべてのヤドカリがそんな過酷な旅をしてきたのかと思うと畏れ多い。大阪にも本当にたくさんのヤドカリがいるので、もし出会ったらぜひじっくりとその“宿借り人生”を観察してみてほしい。
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